NetBSD/amd64-current on HP Spectre x360 ae019TU (デスクトップ環境構築編)

この記事は、NetBSD Advent Calendar 2018の6日目の記事です。

前回の補足

前回のインストール編で 書き忘れていた点が2点ありました。

  • 最近のNetBSD/amd64-currentだと、acpibat(4)の認識のところで止まってしまいます。ですので、boot -cで起動させて、disable acpibatを入力してやるか、事前に/boot.cfgファイルを書き換えて、userconf disable acpibatを足しておく必要があります。
  • 附属の可視光/赤外線用のビデオカメラの認識の際にカーネルパニックします。PR kern/53734が正しいかは分かりませんが、uvideo(4)を無効にするか、このPRのパッチを当てておく必要があります。

はじめに

前回インストールしたNetBSD/amd64 8.99.26では、以下の機能が使えます。

  • オーディオ出力
  • Synaptics製タッチパッド
  • microSDカードリーダー
  • 無線LAN
  • NVMe SSDストレージ
  • Intel製内蔵GPUによるアクセラレーション
  • USB Aコネクター経由でのUSB 3デバイスの利用
以下の機能は、パッチを当てれば使えます。
  • タッチスクリーンのペンによる操作
以下の機能は使えません。
  • 内蔵の可視光/赤外線のウェブカメラ
  • タッチスクリーンの指による操作
  • 指紋認証
  • USB Type-Cコネクター経由でのUSB 3デバイスの利用
  • ディスプレイの輝度調整
  • ACPIで電源を切る(shutdown -p nowが働かない)
  • ACPIで内蔵バッテリーのステータスを取得する
  • ハードウェアボタンによるオーディオ音量調整
細かい所は不便ですが、生活するのに困るほどではありません。

ここでは、快適にFirefoxウェブブラウザー(pkgsrc/www/firefox)で ウェブブラウジングができるようにする、Blender(pkgsrc/graphics/blender)で3Dモデリングができるまでを説明して行きます。

必要なパッケージのインストール

快適なX Window Systemの環境を容用意するには、残念ながらxsrcから 生成されたXでは不十分なことは前回も触れました。 ここでは、pkgsrcでも不十分ですので、lpkgsrc-wip も利用します。 pkgsrc-wipは、pkgsrcに収録されていない 作業中のパッケージを収録しているリポジトリーです。 pkgsrc-wipは、Git等のバージョン管理システムの リポジトリーからパッケージをビルドする仕組みが充実しているので、 リリースされていないソフトウエアは、pkgsrc-wipに置かれたままに なっていることもあるようです。

pkgsrcのディレクトリーの下に以下のようにpkgsrc-wipの リポジトリーを展開します。

$ cd /usr/pkgsrc
$ git clone git://wip.pkgsrc.org/pkgsrc-wip.git wip
これにより、pkgsrc-wipのリポジトリーが/usr/pkgsrc/wip ディレクトリーに配置できました。

今回使うのは、/usr/pkgsrc/wip/xf86-video-intel-gitパッケージです。 また、/usr/pkgsrc/x11/modular-xorg-serverについては、 /usr/pkgsrc/graphics/MesaLib18を利用する必要があります。 となると、以下のような順序でパッケージをインストールすることになります。

# cd /usr/pkgsrc/graphics/MesaLib18
# make install
# cd /usr/pkgsrc/wip/xf86-video-intel-git
# make install
ここで、/usr/pkgsrc/x11/modular-xorg-serverは、 /usr/pkgsrc/wip/xf86-video-intel-git の依存パッケージとしてインストールされるので、明示的にmake install を実行する必要はありません。

他には、生活に必要なパッケージを入れて行きます。 今回は、FirefoxとBlenderを使えるようにするのが目的でしたが、 Xのモジュールやターミナルエミュレーター、ウィンドウマネージャー、日本語インプットメソッド、フォントなども必要です。

# /usr/pkgsrc/x11/xf86-input-mouse
# make install
# /usr/pkgsrc/x11/xf86-input-keyboard
# make install
# /usr/pkgsrc/fonts/noto-ttf
# make install
# /usr/pkgsrc/meta-pkgs/modular-xorg-apps
# make install
# /usr/pkgsrc/meta-pkgs/modular-xorg-fonts
# make install
# /usr/pkgsrc/meta-pkgs/modular-xorg-utils
# make install
# /usr/pkgsrc/www/firefox
# make install
# /usr/pkgsrc/graphics/blender
# make install
# /usr/pkgsrc/wm/jwm
# make install
# /usr/pkgsrc/x11/mlterm
# make install
# /usr/pkgsrc/inputmethod/fcitx-skk
# make install
それぞれの設定については、省略します。

この組み合わせであれば、FirefoxでWebGLなウェブページを楽しんだり、 快適にBlenderで3Dモデリングを楽しんだりすることができます。 ここでは、FirefoxでWebGLでアクアリウムを表示するサンプルを表示させたスクリーンショットを 掲載しておきます。 もし描画が乱れる場合には、 アクセラレーションメソッドをSNAではなくUXAにして みてください。

本当は、xsrcからインストールしたX Window Systemで以上のような ことができれば良いのですが、現状ではうまく行きません。

明日は、Go言語で書かれたソフトウエアをpkgsrcのパッケージにする例を紹介したいと思います。

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